事業仕分けから国家戦略(予算の組み替え)へ

 事業仕分けでは,その情報の透明さと,約60年のしがらみだらけの国政からのチェンジに国民の関心が集まり,行政の中身に対する関心がかつてないほどに高まっていると思う。


 しかしこのような手法で予算を捻出できる量が数兆円のオーダーであることも徐々に明らかになりつつある。これは,1回の補正予算で吹っ飛ぶ程度の金額であろうし,また景気が後退する中で下がる税収額の方が振れが大きく,政府としてこれまでの路線を継続することはほぼ不可能であるということを突きつけられている。


 企業の収益が落ち,人口が減り,労働人口が減っていくにもかかわらず若者が職にあぶれ,食うのにも困るような状況。それでいて,若者は老人の生活も支えなければならず,2.7人で老人1人を支えている。そして円高とデフレ。問題を先送りしてきたツケが,怒濤のように押し寄せている気さえする。


 正直,私は今後日本が良くなっていくなどと言う絵空事は信じる気はないし,その様な現実逃避はしたくはない。


 八ッ場ダム1つだけで,その抵抗たるや凄まじいものがあったが,私は民主党の方針が大筋で間違っているとは思えない。反対をした知事側の方が,あくまで自分たちの立ち位置を被害者側に置き,為政者としての当事者意識はほとんど感じられなかった。


 地方は三位一体改革で自分たちを切り捨てられた被害者だったと言っているが,私はとんでもないと思う。これからは国も地方も明らかに財源が不足してくる。いままでと同じ予算の使い方が出来ると考えていることが,すでに日本は豊かな国ではないという認識が足りない。大阪を除き,コストカットや事業の見直しをしている自治体はほとんどと言っていいほど聞こえてこない。そういった意味で自治体の努力は,まだ甘い。


 予算の組み替えはその国をどう運営していくかであるから,哲学が必要である。イデオロギーも影響すると思うから,唯一の正解はないと思うが,私個人が,予算をどう組み替えていって欲しいかを記したい。


 充実させて欲しいこと
  ・行政刷新会議の強化
  ・公正取引委員会の強化
  ・株式市場の不正摘発強化
  ・子育てと仕事の両立に関する(金銭面ではない)環境面でのサポート
  ・司法に関するハードルの高さの解消(泣き寝入りの減少)
  ・公務員制度改革(理系出身者の処遇向上,外交官見直しかつ充実)
  ・労基署や雇用に関するサービス強化
  ・地方メディア
  ・地方の権限(予算低下を受け入れやりくりする責任能力
  ・介護や公教育に関する人的配置の充実(雇用対策にもなる)
  ・NPO育成
  ・寄付行動への税制上の優遇


 大幅に縮小して欲しいこと
  ・公共事業
  ・防衛(身の丈にあったものに)
  ・ODA
  ・食育
  ・原子力
  ・農林水産行政(環境省経済産業省へ吸収)
  ・地震予知


 サービス低下を受け入れるべきもの
  ・年金(理念を踏襲しても人口比構成上北欧レベルは厳しい)
  ・医療


ざっと考えたところ,このあたりである。自分の考えとシンクロする部分が多い政治家を支持していきたい。