なぜ朝青龍引退が衝撃なのか

衝撃であることは間違いない。だが,なぜ人々は衝撃を受けるのか一度冷静になって考えることが大切だと思う。


横綱の引退だから。不祥事を起こした責任を取っての引退だから。それ「だけ」ならここまで物議を醸すことはない。


朝青龍はその振る舞いを,良く思わない人々から叩き続けられてきた。横綱には強さと共に品格が備わっていなければならない。朝青龍は品格が足りない,と。


それじゃ,品格とは何なのか。具体的にそれを朝青龍に示した人はいるのか。メディアに上がってくる情報を見る限りでは,いないのだ。


NHKの番組 追跡!AtoZ朝青龍衝撃の引退表明」を視聴した。そこではやくみつる氏,元横綱北の富士勝昭氏が朝青龍の振る舞いを責めていたが,どちらのかたも「品格」について,「品格」とは何を指すのかを明確に説明することは出来ていなかった。朝青龍は心のよりどころであった元床山,日名端隆寿さんにも「品格」って何ですかとかなりしつこく(自分が納得できる理屈を)教えを請うていたらしい。


日名端さんは「みんながだめだと言うことはやってはいかん」と答えたらしい。「品格」とは何なのか,それに明確に答えることはできないと言っていた。分からないと。
やく氏も,北の富士氏も同じである。


つまりこういう事になる。横綱には品格がいる。しかしその品格とは何なのかは分からない。だから,みんながやってはいかんということはやってはいけない。(空気を読め)


結論:空気を読め


これで朝青龍は納得できるのか。
日本人だって納得の出来ない人はいるというのに。
ある世論調査では,朝青龍の引退を仕方がないと答えている人は約
8割だそうだ。2割の人がそうは思っていない。


結果,朝青龍は「鬼」を目指した。ヒールになった。憎らしいくらい強くなることを目指した。そしてそのかっこよさを支持したファンもいた。優等生の白鳳との対照が大相撲を盛り上げた。


品格とは何か,朝青龍が納得するような答えがあれば,朝青龍は違う朝青龍になっていたのではないだろうか。