民主党を考える

 大前提として,日本の人口は減り,高齢者は増える。これまでのような放漫な財政をしていたらそれが大増税ハイパーインフレに繋がるおそれがある。


 それを避けるためには,財政を引き締めるか,税収を上げなければならない。短期的には国債で対応できてもそれは持続的ではない。


 民主党は,特別会計をゼロベースで見直し天下りを根絶するとマニフェストに載せている。僕が期待したのはほとんどここだけだった。しかしこの1年で,それは実現していない。


 つくづく思うのは,全てを何とかしようと言うのは不可能なのだ。しかし,物事にはポイントというものがあって,そこを突くことで良い流れを作り出すきっかけに出来るのだと思う。


 僕が民主党に期待することは特別会計から数十兆円規模のお金を巻き上げてくることだ。それが期待することの8割だ。


 あとの2割は,労基法というか,働く人間の最低限の福利を実現する環境を作り上げることだ。それには,守らない企業へのペナルティと公的なサービスの拡充が必要だ。


 ただし,それが働くものが損し,さぼるものが得をするソ連のようなしくみに変えていくのであれば,支持はしないだろう。


 パイが小さくなる以上,企業は給料を無尽蔵に上げていくことは出来ないし,正規の年功給を保持するために新規を抑制し非正規を増やしているのが現在の状況でもあるのだから。そしてそれを撤廃すれば倒産する企業は増え,日経平均は下がり,税収も減り,経済はさらに悪化するだろう。


 民主党は組合が支持母体だ。組合は大まかな意味では,正規の労働者の権利しか守ろうとはしない。だから組合の意見が通りすぎると,企業と非正規の人が疲弊し,全体にとってプラスにはならなくなってしまう。だが一方で,働くものの権利を真剣に考えてくれるところも組合しかない。組合も苦しい。


 日本の労働者はいざなみ景気で企業に貸しを作ったと考えていると思う。企業は不良債権を何とか返済し,再び体力をつける素地を得た。だから,今度は労働者が報われる社会になって欲しいのだ。


 恩恵もあったのだろうが,ここまでもバブルの後遺症は大きい。