未熟な日本の民主主義(1)

 以前、福田さんが「物価が上がるのはしょうがない。」と発言したことがあった。マスコミは「当事者として無責任にもほどがある。」と批判していたが、もしこれが福田さんだけの責任のように情報発信したならば(多くがそう理解したであろう)、スケープゴートの側面が大きすぎると思う。

 まず、今の閉塞感は福田のせいだ、小泉のせいだというのは簡単である。しかし主立ったものだけでも、プラザ合意、バブル狂乱、橋本行財政改革の頓挫、銀行の不良債権問題、暫定税率など比ではない小渕内閣の巨額財政出動など、一連の流れが現状を生んでいる側面を示さず、ゆがんだ認識としてしまう。

 福田総理については、まず総理大臣の権限で物価高に対処できることは財政出動であろうが、これは借金まみれのこの国の沈没を加速化させる。次に、改革の姿勢をしっかりと打ち出し日本株の下落を下支えすることができるが、これを結果的に妨害しているのが自民党である。

 自民党の議員は、従来の支持基盤である地方を民主党に切り崩され、背に腹変えず公共事業などを守ろうとしている。福田さんは自分の考えをはっきり示さない人なので、真意は見えにくいが(見せたら見せたで波風は立つであろう)、自民党から首班指名を受けてなった総理であるから、自民党議員の意見は尊重しなければならない。

 そして、この国は野党が存在こそしているものの、現状は自民党の独裁国である。その自民党の内部で、内政で言えば市場経済重視派から公共事業重視派まで、外交で言えば米国追随型から親アジア派まで、まるで一貫性がないもの同士が綱引きを繰り返している。たとえば「防衛をアメリカに依存するのか独立性を高めるのか」や、「資産配分重視か格差拡大路線か」などこそ、国民的コンセンサスが必要な重要事項である。しかし戦後未だに、このようなことを国民は選挙で意思表示できないのであるから、いかに民主主義が成熟していないかの証である。

 私は政治がこの様な現状にあるのは、有権者一人一人の責任であると思う。特に戦後選挙に行っていない4000万人(国政投票率はおおむね約60%、選挙権保持者約1億人)の愚民(あえてこの汚い言葉を使う)。こいつらのせいで、国地方共に利益誘導型議員を送り込まれ、税金を持って行かれている。例えば議員数の5%でしかない公明党の意志が政策に現れるのは、(政策自体の良し悪しは置いておいても)国民の95%が、5%の意志に負けていることになる。

 政治に関心がないと言うことは、税金をどう使っても結構ですと言っているのと同じである。それでいて、マスコミに洗脳され、一貫性のない感情論で(自分が選挙に行かないことなどを棚に上げ)王様のようにクレームを発言する。世の中が良くならないのは自分たちの責任であるという自覚に欠けている。

 国民が政治に対して責任を意識すれば、自民党は分解し、政権担当能力のある政党が複数でき、より国民全体のことを意識した民主国家になるであろう。


参考にさせていただいたエントリーです。この方のブログは個人的に大変勉強になっています。

戦闘教師「ケン」激突永田町編 - 自民党が強いわけ
http://kenuchka.paslog.jp/article/821197.html

自民党の本質は農業と建設業の独善発展装置であることが良く分かります。自民党については、私ももう少し書いていきたいと思っています。