政治家は当選のためなら目くらましを使うらしい

 小泉内閣が行った改革のシンボルともいえる「郵政民営化」は、結果が良い方向に実を結ぶかが現段階ですら評価できないほど影響の及ぶ範囲が複雑だ。(私もそうだが)内容を充分に理解しているとはいえない人が多いのではないだろうか。しかしそのような政策でも、国民は圧倒的な支持をした。

 ついこの前までは「改革」という言葉(または小泉純一郎)そのものに、世の中が良くなり明るくなるイメージがあったということだ。

 しかし小泉内閣は「郵政民営化」の裏で数多くの政策を行った。景気対策優先(財政赤字拡大)。ブッシュ追随外交。三位一体の改革道路公団民営化。高所得者優遇政策。金融再生プログラム(竹中プラン)。良いものもあれば、首をかしげるものもあったと思う。

 「改革」と呼ばれるものすべてが良いものではなく、意味のある改革、効果がなかなか出ない改革、骨抜きなもの、改悪と様々であることがはっきりしたのだ。

 先日、自民党伊吹文明さんが「選挙に勝とうと思うと一種の目くらましをやらないとしょうがない。」と発言し波紋を広げた。政治が良くなるためには国民が本物の改革と贋物を見抜き、政治家の本音を見抜く眼力が必要であることの証左だ。

 今は与党が劣勢だが、民主党はかつて小泉さんが行ったように、政策を単純化・美化して表現する傾向があるし、インパクトを持たせるために大風呂敷を広げている様に感じる。しかし、実際にどのような政策をどの程度実現できるのかは未だ不透明感が強い。霞ヶ関を完全に敵扱いして政策を実行するだけの法改正・運用ができる力があるのかも疑問だ。

 それでも、自民党の独裁体制ではあらゆる所に制度疲労が生まれ、権力が腐敗していることも事実だろう。今の自民党では財政赤字拡大路線から脱却することは難しいと思う。(つまり、これからも国の借金は増えていく。)


 改造福田内閣が何ができるのかは分からないが、甘い蜜や目くらましに騙されることだけはないようにしたいものだ。