消費税を上げるべきか中学生にも考えられるように書いてみた。

自民党内で消費税を上げることについて対立が深まっている。800兆の財政赤字と増加する社会保障費を今後どのように賄うべきかが問題視されているからだ。

対立の構図は「消費税率を上げ税収を上げるべき」vs「強い企業をつくり税収を上げるべき」

残念ながらどちらも国民に優しい政策ではない。増税は言わずもがな。もう一方は、強い企業をつくるために労働力が安く買い叩かれやすい。小泉構造改革の方向性がそうだった。(方々から抵抗があったため改革そのものは充分ではなくいびつな状態だ。しかしそれは自民党の中で考え方に差がありすぎ一貫性に欠けるためでもある。)

どちらにせよ、国民に負担をしてもらおうというのが自民党の方向性だ。これは、これ以上次の世代に負担(借金)を先送りすべきではないという考え方ともいえる。今の人たちの医療や福祉を国債(借金)で賄うのは、次世代に負担してもらうことに近いからだ。これはこれから生まれてくる声なき世代にツケを残せないという道義上の問題であると同時に、国債を際限なく発行していくことが、財政における利払いの額を増やすことになり、公共サービスの質を低下させることに繋がるからだ。また、借金が増えて一番困るのは借金が出来なくなる可能性が高まることだ。それがいつのことかは分からないが、市場に「この国は借金を返せないな」と思われてしまったら国債はもう出せなくなる。

自民党の方針は一定の正義があると共に、国民へは痛みを受け入れてくれとお願いする政策だ。選挙上は非常に不利な政策でもある。


それでは対する民主党はどうだろうか。民主党は基本的に、行政の無駄をなくすことで医療や福祉にお金を回せると考えている。これは国民に負担をお願いしなくて良いので国民のウケは当然良くなる。しかしこれは自民党霞ヶ関の行ってきたこれまでの行政サービスの全否定に近い。全面的に組み替える必要性が出てくるからだ。
そして組み替えた後が組み替える前より良くなるとも限らない。まずこれまでの公共サービスの実務者に抵抗される可能性がある。霞ヶ関都道府県。市町村。第三セクター。国の事業を請け負っている会社。それらの抵抗に抗うのは並大抵のことではない。そのような大手術を行えるだけの胆力が民主党にあるのかは大きな問題だ。そして民主党の考えている組み替え案がよりよい公共サービスを提供できるデザインであるのかも問題だ。

しかし、抵抗を恐れていたら改革が出来ないのも事実ではある。改革が出来ないから官僚の良いなり、地方の言いなりでは本末転倒になる。

現在の国政について国民の判断すべき事柄の一つは、国民の負担増を容認するかどうかであることに違いはない。

そして蛇足だが、政治に大きな力を委ねられないのは、国民が権力を付託した議員よりも官僚に任せた方がましと考えているからであり、国家財政や公共サービスのグランドデザインを考える国民の絶対数も少ないという現実があるからだと思える。

参考:[消費税]自民「2段階方式」了承 引き上げ時期めぐり
http://news.livedoor.com/article/detail/3985278/